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台湾エクセレンス特集-鉅田潔浄技術(Ju Tian Cleantech)
公開日 2021-09-10

コンビニチェーンと提携 使い捨てプラスチック1,700万組を削減

鉅田潔浄技術(Ju Tian Cleantech)は、コンビニチェーンと提携し、バガスを使用した新しいエコカップを打ち出しました。本製品は繰り返し使用でき、捨てた後も自然分解されます。消費者の行動こそが変化をもたらす重要な力であり、責任ある消費行動が責任ある生産につながります。今回の取り組みにより削減される使い捨てプラスチックカップ・蓋の数は1,700万組に上ると見込まれます。

鉅田潔浄技術の創業者黃千鐘氏 気候変動問題を注視

創業者の黄千鐘氏は材料の研究開発に精通し、コーヒーかす、ブドウの搾りかす、バナナ繊維、サトウキビのバガスなどの農業廃棄物に新たな価値をもたらすべく、学生時代から環境問題に関心を持ち、環境に優しい材料の開発に尽力してきました。黄氏は、「石油化学廃棄物による汚染が、地球温暖化や異常気象の一因となっています。石油化学原料の削減が地球温暖化を防止する第一歩となります」と語ります。

農業廃棄物に新たな命が宿る 環境に優しい製品が誕生

台湾で環境保護への意識が徐々に高まりつつあった2018年、鼻にストローが刺さったウミガメの写真が注目を集め、台湾政府もまた、政策的にプラスチック規制の推進を開始しました。同年創業の鉅田潔浄技術(Ju Tian Cleantech)は、自社ブランド「100%植」を立ち上げ、植物由来原料を再利用する研究開発に取りかかりました。製品のライフサイクルモデルを見直し、石油化学製品であるプラスチックの代わりに農業廃棄物を原料として用いることで、自然分解により生態系の循環へと戻る製品設計に成功しました。

クリーンテック

農業廃棄物を原料化するための第一ステップは乾燥です。鉅田では乾燥に太陽光を用いることで、二酸化炭素の排出量を可能な限り削減しています。植物繊維の特徴は千差万別であり、例えば、コーヒーかすは柔軟性に富む一方、バガスや竹の繊維は線状で高い剛性を持ちます。それゆえ、さまざまな特性を持つ材料を生み出すことができます。環境に優しい製品を作るために、逆に過度な資源を投入することとなっては本末転倒です。鉅田では、材料の設計・調整をうまく行うことで、既存の設備での生産を可能にするとともに、二酸化炭素の排出量を削減するべく、段階的に太陽光発電を導入しています。

サーキュラーエコノミーを体現しSDGsを実践

今回台湾エクセレンス賞に輝いた製品は、台湾現地のサトウキビ工場の協力のもと、その名の通りバガスを原料として作られています。リサイクル材料であるバガスを原料とし、ライフサイクルを終えた後はご家庭の庭で分解可能な本製品は、「ゆりかごからゆりかごまで」の生態系の循環を実践する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を体現しています。現在、世界5大陸25カ国以上へと輸出されており、フランスの発明コンクール「レピーヌ・コンクール」では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標13と目標12に合致した製品として金賞に輝きました。また、世界気候サミットなどのフォーラムやセミナーからも招待を受け、その議論に加わりました。

 

国際展開

二酸化炭素排出量実質ゼロ(ネット・ゼロカーボン エミッション)という私たちの共通目標を達成するべく、鉅田はこれまでフランスとカナダに子会社を設立するなど、多くの国々と積極的に協力関係を築いてきました。使い捨て製品のほかにも、電子産業、靴製造業、自動車産業などに向けて、リサイクル可能な低炭素材料の開発を支援しています。また、持続可能性に関する海外のフォーラムにも数多く招待され、SDGsの目標に尽力するとともに、国際交流・協力を促進し、共同でポジティブな価値の創造に取り組んでいます。

台湾エクセレンスから高まる環境意識

地球はたった一つです。私たち一人ひとりが、極端な気候変動のもたらすリスクを直視し、使い捨てプラスチックの使用を控えるなど、日々の生活から二酸化炭素削減を心がけなければなりません。そうした小さな変化が、気候変動緩和のための重要な推進力となります。ぜひ皆で力を合わせ、カーボンニュートラルへの道を歩んで行きましょう。

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